目次
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鉄骨造の被害
火事災害

鉄骨造の被害


 今回の地震では,過去の地震ではあまり被害を受けなかった鉄骨建物にも多くの被害が出ました。日本建築学会の集計では1,776件の鉄骨建物の被害が特定されて,そのうち倒壊したり大破したものは457件を数えます。

古い鉄骨造の被害

 阪神地区には建築年代の古い小規模の鉄骨建物が多く,今回の地震ではこの種の建物の多くが大きな被害を受けました。これは被害を受けた建物全般に言え,建てられた年代が古いほど大きな被害を受けた割合が大きくなります。原因は部材の腐食などもあります。また,古く建てられた鉄骨造の建物の中には,使う部材が不適切なもの,すじかいが入っていないもの,溶接部分が不適切であるものなども見られました。

柱の被害

 写真53は高層の鉄骨造建物で大断面の柱が破断した被害です。鉄骨の柱がねばりを見せた形跡はほとんどなく,脆性破壊を起こしています。原因としては,地震による柱への引張力,力の加わる速さ,材料の特性,溶接などの影響が考えられます。

 その他に,柱のオイラー座屈(写真54)や局部座屈(写真55),そして延性破壊の被害も見られました。

写真53 破断した大断面の鉄骨柱20)

写真54 オイラー座屈した鉄骨柱25)

写真55 局部座屈した鉄骨柱25)

柱とはりのつなぎ目の被害

 日本建築学会近畿支部の調査(以下,本格調査)によると,167件の建物でこの部分に損傷を受けたということです。

 被害では,柱の頭の部分の破断(写真56),はりの端の破断(写真57)などが見られました。破断が起こるとカを伝える仕組みがこわれます。特に鉛直方向の部材が破断した建物は,倒壊などの大きな被害を受けました。

 これらの建物では,溶接が不十分であったものが少なくありません。しかし,充分に溶接されていても,はり端部の下端の亀裂や破断の被害が見られました(本格調査ではこの種の破断は26件)。このうち,多くの建物では亀裂・破断が起こるまでに変形してねばった跡が残されています。このことから,これらの部材はこわれるまでにある程度の地震エネルギーを吸収したことが分かります。

写真56 柱頭部が破断した鉄骨柱20)

写真57 端部が破断した鉄骨ばり20)

すじかいの被害

 すじかいは地震の水平方向の力に対して主要に働く部材です。そのため,大きな地震の場合には柱やはりより先にこわれる危険性が高くなります。

 本格調査ではすじかいの被害が報告は168件です。このうち,比較的軽微なすじかいでは破断などの被害(写真58)が目立ちます。一方,大断面のすじかいでは,柱やはりとのつなぎ目での被害(写真59)が目立ちました。すじかいの性能は,すじかいと他の部材のつなぎ目の出来で大きく左右されます。それが建物の被害程度までをも大きく左右することが,すじかいでの多くの被害を見ると分かります。

写真58 破断したすじかい25)

写真59 すじかいとはりのつなぎ目の破壊20)

柱脚の被害

 本格調査では218件の建物で柱脚の被害が見られました。足元が壊れる被害であるので,建物全体の被害レベルが高くなりました。

 柱脚の被害のうち127件は「露出型」の柱脚で見られました。そのうち,アン力一ポルトの引き抜け(写真60)や破断の被害が最も多く見られました(本格調査では112件)。そのほかにはベースプレートと呼ばれる柱脚部分の部材の溶接部分の破断なども見られました。

 建物にかかる地震の力を確実に基礎に伝えるのに重要な柱脚部分を充分強くするための仕組みを整備する必要があります。

写真60 引き抜けたアンカーボルト25)


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